スペシャルインタビュー:「カテゴライズなんか関係ない。アンセムを作りたいんだ。」 品川区・大井町でオリジナルメニューを開発し続ける「ajito ism(アジトイズム)」店主の論理的思考。

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品川区・大井町の住宅街で知る人ぞ知る店としてラーメンフリークの間で人気を博した『ajito(アジト)』。
2013年、テーブル席も含めた全11席を有する店舗拡大に成功した。
店名も新たに『ajito ism(アジトイズム)』と進化させ、『ajito』時代と同じく大井町の住宅街に立地。
独特の世界観とオリジナルメニューに心を奪われたファンが年々増加している。

個性溢れる店主に話をうかがった。

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  4坪から始めた『ajito』

2007年7月、『ajito』は品川区・大井町にオープンした。
JR/東急 大井町駅から徒歩6分。周囲を民家に囲まれた閑静な住宅街に立地する。
環状通り沿いや繁華街などのようにラーメン店の立地イメージとはかけ離れた場所だ。

「店の立地は、自分のやりたいことや波長と合っているかが一番大事。」
シェフの経験を持つ店主は、シェフ時代に7軒のレストラン立ち上げを行ったという。
その経験から、
「良い立地条件だけでなく、インスピレーションも重要。
やりたいことが定まっていれば、インスピレーションは洗練されていく。」
と考える。

「店名が『ajito』なのに、表通りに立地してたら矛盾してるよね(笑)」
と語る。

  “プロレス”から“総合格闘技”に挑んだような気持ちだった。

「シェフから転身した当初は、シェフが“プロレスラー”だとしたら、ラーメン屋は“総合格闘技”みたいだと思った。
ラーメンなら(総合格闘技のように)いろんなことが出来るかもしれないと。」

「ラーメンを知らなかったからそう思ったのかもしれない。」と当時を振り返る。
しかし、ラーメンに対するイノベーションの余地を感じていたという。

初めに生まれたのが「ajitoのつけ麺」。
そして、「ピザソバ」の原型ともなった「つけ麺ロッソ」が生まれる。
しばらくこの2点をレギュラーとしていたが、曜日限定メニューとして「つけ麺ロッソ」をまぜそばに進化させた「ピザソバ」を始める。
この「ピザソバ」が『ajito』の革命的逸品となった。

『ajito』時代からの看板メニュー「ピザソバ」

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「ピザソバ」は曜日に関わらずオーダーが殺到し、程なくレギュラーメニューに昇格した。
ビジュアルも名称も奇抜すぎるラーメンだ。
しかし、その発想元には独自の理論がある。

「ラーメン屋はスープを一番一生懸命作っているのに、麺を完食してスープを残されることにずっと疑問を感じていたんだ。」

そこに対するアンサーとして開発したのが「ピザソバ」であり、「〆のリゾット」である。

「ピザソバ」には「スープ」と呼ばれるものはなく「ソース」が麺に絡んでいる。
麺を食した後に若干残る「ソース」を最後まで美味しく食べられるよう、食後の丼にリゾットと卵を追加する「〆のリゾット」を提供している。

「一生懸命作ったものを完食してもらえることを目指した。エコという目線でも理にかなってるはず。」

  ラーメンって意外とルールだらけじゃねぇか。

オリジナルメニューに挑んだ結果、多方面から様々なバッシングを受けたという。

「自分の被害妄想だった部分もありますけどね(笑)
こんなのはラーメンじゃないっていう声が一番多かった。
ラーメンに対して考えうる新しいことに挑んだ。
でも、ラーメンとはこうでなきゃいけないっていう固定概念のようなものがある。ルールがたくさんある。
新しいものを創作するとそれなりに外部からのバッシングもある。それでも俺は固定概念を破れるものなら破りたい。」

  自由なラーメンって何なんだ。

「ピザソバ」は店主自身が命名した造語である。
味はタコス、ビジュアルはピザを目指したという。
外国人のお客に聞くとタコスの味だと返ってくるとのこと。

固定概念に縛られていない客層からは支持されていると感じるとのこと。
その代表として、「子供や外国人客には100発100中で刺さる!」と語る。

「バッシングされ、自由なラーメンって何なんだって考えた。
カテゴライズされた瞬間、個性は消えてしまう。
中華めんはイタリアンパスタを超えていると思う。配合にしても製法にしてもコストパフォーマンスでも、あらゆる面で進化したと思う。
だからもう「ラーメン」というジャンルが、もっと進化していったら良いと思う。超えていけばいいと、そこに挑んでいるつもりだ。」

メニューは掲載時点のもの。この他に「イレギュラー」で新メニューが提供されている。
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  カテゴライズに縛られていたらアンセムは生まれない。

新しいことへ挑戦するための原動力になっているのは、ある信念があった。

「アンセムを作りたい。トレードマークというか、この店にはこれがあるというものを作りたい。
少し大げさな話だけど、「カレーライス」とか「牛丼」のようにメニューとして名を残せるようなものを作れたら本望。
それには、カテゴライズに縛られていたら新しいものは創造できない。
ライブの最後にファンが皆盛り上がる曲みたいな「アンセム」を作りたい。
ラーメンのルールを破ったことで評価してくれてファンになってくれた人達がいるということが励みだし、やりがいになっている。
固定概念を飛ばして「おいしい!」と言ってもらえた時、本当に嬉しい。」

  最後は第六感に頼る。第六感を鍛えるには調査と熟考。

普段、有名チェーン店や大手飲食店へも食べに出かけるという。

「新しいことに挑む上で、あらゆることにアンテナは張らなければならない。
大手企業ならば、一流の人材と大きな資金をかけた商品開発が行われているはず。
個人の能力だけでは及ばないところは参考材料にして、頭を柔らかくしていないといけないよね。」

店づくりについても、個性が溢れる。
店の入り口には多数のフィギュアが飾られている。

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さらに、リニューアルオープンを記念して有名プロレスラーからプレゼントされたサイン入りTシャツなどが並ぶ。

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「公式ホームページもTwitterも開設してないから、常連さん以外のお客さんとはほとんど接する機会がない。だから、食後の丼を見て自分が何をやるべきなのか考える。何を魅力に感じて来店してくれたのか、何に惹きつけられているのかを考える。」

一見、感性で行動しているような印象を持たれがちだが、論理的思考に基づいた判断が細部に渡っている。そのきめ細やかさが奇抜なメニュー開発や店づくりにおいても、ファンの心を掴む。

「何事も最後は第六感に頼る。だけど、その前にやれるだけの情報収集と分析はよく行うこと。意外と考えて作ってるよ。ラーメンも店づくりも。

でもねぇ、結局はよく分かってないんだよね。
いろいろ分析してるけど、さっぱり分かってない。(笑)」

こちらは店主が今一番ハマっているというCCP (キャラクター・コンテンツ・プロダクション有限会社)製の『キン肉マン』フィギュア。

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【店舗概要】
ajito ism(アジトイズム)
東京都品川区大井1-37-4 オラシオン 1F
11:00〜14:30/17:30〜20:00
[土・日・祝] 11:00〜14:30
木曜(ほか、臨休あり)
TEL:非公開

※店鋪情報は掲載時点のものです。

※すべての商標は、各々の所有者の商標または登録商標です。

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