ハウス食品 カレーに含まれる複数のスパイスがPM2.5による炎症反応を抑える効果を確認

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ハウス食品株式会社は京都大学 高野裕久教授との共同研究で、カレー粉およびカレー粉に含まれる4種類のスパイス(クローブ、ウコン、コリアンダー、桂皮)に、PM2.5*)によって引き起こされる炎症反応を抑える効果を確認しました。PM2.5による呼吸機能低下を予防する対策として、複数のスパイスを含むカレーの摂取が有用である可能性があります。この研究成果を、2019年2月1日から3日に開催される第89回日本衛生学会学術総会(名古屋市 名古屋大学東山キャンパス)にて発表します。

*) PM2.5は、石炭や石油といった化石燃料や薪などのバイオマス燃料、タバコの燃焼などによって生じる2.5μm以下の粒子状の大気汚染物質のことで、非常に粒径が小さいために肺の奥にまで入り込み、細胞を傷つけ酸化ストレスや炎症反応を生じます。PM2.5の吸入は気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器系疾患や循環器系疾患などの危険因子と考えられていますが、非常に小さいために、マスクなどで吸入を完全に防ぐことは困難です。


研究の背景

カレーは健康増進に効果があるとされる様々なスパイスが用いられており、健康に良い食品と考えられています。しかし、カレーの健康効果については、これまであまり研究がされていませんでした。カレーにはスパイス由来の抗酸化物質や抗炎症物質が多く含まれており、高い抗酸化・抗炎症作用が期待できるメニューの一つであることから、ハウス食品は「カレーを食べれば酸化ストレスや炎症反応が低減され、健康に様々な良い効果をもたらすのではないか」と考え、研究に取り組んできました。

研究を行っていく中で、カレー摂取頻度の高い高齢者で呼吸機能が良好に保たれていることが疫学研究の結果として報告されている[1])ことに注目しました。カレーを食べる頻度が高いほど呼吸機能が健康に保たれており、その効果は喫煙者でより顕著であるという内容となっています。この報告では、カレー中のスパイスによる抗酸化・抗炎症作用が呼吸機能を維持し、特にタバコの煙による呼吸機能の損傷を防いでいると考察しています。実際、オイゲノール(クローブの香気成分)やクルクミン(ウコンの黄色色素)といったカレーに含まれるスパイスの主要成分に、タバコの煙と同様に代表的なPM2.5であるディーゼル排気微粒子による呼吸機能障害を抑制する効果があることが報告されています[2], [3])。食品としてのカレー粉、クローブおよびウコンにはオイゲノールやクルクミンといった成分以外にも様々な成分が含まれているため、カレー粉、クローブおよびウコンがPM2.5に対して効果があるかについては分かっていません。また、カレーおよびカレー粉には、クローブおよびウコンの他にも多くの抗酸化作用の高いスパイスが豊富に用いられていますが、PM2.5に対して効果があるのかは不明です。そこで今回、カレー粉、クローブおよびウコン、カレー粉に一般的に用いられるその他のスパイスについて、PM2.5による炎症反応を抑制する効果があるかを確認しました。

試験概要

①カレー粉、クローブ、ウコン抽出物についての効果確認
最初に、カレー粉、クローブ、ウコン(両スパイスは一般的にカレー粉に用いられ、PM2.5に対する効果が既に報告されているオイゲノールまたはクルクミンを豊富に含みます)のそれぞれについて、ヒト気道上皮細胞を対象に試験を行いました。細胞にディーゼル排気微粒子(以下DEP)懸濁液を曝露後、カレー粉、クローブ、ウコンの抽出物を添加後培養し、炎症反応の指標として炎症性サイトカイン産生量(24時間後の培養上清中IL-6濃度)を確認しました。メカニズムについて考察するために、細胞外の活性酸素種の産生量として3時間後の細胞非存在下の活性酸素種濃度についても確認しました。
その結果、カレー粉抽出物、クローブ抽出物、ウコン抽出物の全てで、DEPにより引き起こされる炎症性サイトカイン産生(IL-6)を抑制しました。また、細胞外活性酸素種の産生も抑制されていました。これらの結果から、カレー粉抽出物、クローブ抽出物、ウコン抽出物は、細胞外の活性酸素種を低下することによって、PM2.5による炎症反応を抑制する可能性があることが分かりました。

カレー粉にはクローブやウコン以外にも多くのスパイスが使用されていますが、カレー粉からウコンとクローブを除いたミックススパイスについても、炎症反応抑制効果と細胞外活性酸素種を低下させる効果があることが分かりました。この結果から、カレー粉に含まれるクローブやウコン以外のスパイスにも、細胞外活性酸素種の低下を通じて炎症性サイトカイン産生を抑制する可能性が示唆されました。

[1] Ng TP, Niti M, Yap KB, Tan WC. Curcumins-rich curry diet and pulmonary function in Asian older adults. PLoS One. 2012;7(12):e51753.

[2] Nemmar A, Subramaniyan D, Ali BH. Protective effect of curcumin on pulmonary and cardiovascular effects induced by repeated exposure to diesel exhaust particles in mice. PLoS One. 2012;7(6):e39554.

[3] Zin WA, Silva AG, Magalhães CB, Carvalho GM, Riva DR, Lima CC, Leal-Cardoso JH, Takiya CM, Valença SS, Saldiva PH, Faffe DS. Eugenol attenuates pulmonary damage induced by diesel exhaust particles. J Appl Physiol (1985). 2012;112(5):911-7.

②カレー粉に含まれるその他スパイスの抽出物についての効果確認
そこで次に、同様の試験系で、カレー粉に含まれるその他10種類のスパイス抽出物の効果を確認しました。

その結果、コリアンダー抽出物と桂皮抽出物にも炎症性サイトカイン産生を抑制する効果が確認されました。これらの結果から、ウコンやクローブ同様、コリアンダーや桂皮も、PM2.5による炎症反応を抑制する可能性があることが分かりました。

まとめ

ヒト気道上皮細胞においてPM2.5によって引き起こされる炎症反応が、カレー粉抽出物やカレー粉に含まれる4種類のスパイス(クローブ、ウコン、コリアンダー、桂皮)抽出物によって抑制されることが明らかになりました。この保護効果のメカニズムには、PM2.5による細胞外の活性酸素種産生の抑制が重要であることも示唆されました。

今回の結果から、これまでの報告でカレーの摂取量が多い人で呼吸機能が維持されていたことの理由として、カレー粉の抗酸化作用を通じた抗炎症作用によるものである可能性が示されました。PM2.5による呼吸機能低下を予防する対策として、複数のスパイスを含むカレーの摂取が有用である可能性があります。酸化ストレスや炎症反応は呼吸機能障害以外にも多くの疾患に関与していることが知られており、抗酸化・抗炎症作用の高いカレーの摂取は、様々な健康機能を改善する可能性があります。カレーの摂取が他の健康機能に及ぼす良い影響についても、今後研究を行う予定となっています。

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